JSONとは?概要と活用例、メリット・デメリットを詳しく解説!

JSONとは?概要と活用例、メリット・デメリットを詳しく解説!

データをやり取りするフォーマットにはいくつもありますが、その代表格としてJSONがあります。非常に多くのアプリケーションで利用されているため、この名称を耳にしたことがある人は多いでしょう。細かいことはわからないものの、実際に利用している人もいるかもしれません。広く利用されているフォーマットであるため、今や当たり前のものと思われがちです。

ただ、意外にもJSONについて詳しくない人は多いでしょう。今回はJSONとはどういったものであるのか、概要やメリットとデメリット、活用例を紹介します。

JSONとはなにか

最初にJSONとは何か解説します。

JSONの基礎知識

JSON(JavaScript Object Notation)は、データのやり取りに使われる軽量なフォーマットです。主にWebアプリケーションとサーバー間でのデータ通信に利用されます。人間が読みやすく、機械が解析しやすいことが特徴です。

構文はオブジェクトをキーと値のペアで表現するシンプルな文法で、多くのプログラミング言語で利用しやすくなっています。また、キーは必ずダブルクォートで囲まれ、値はダブルクォート、数値、または他のオブジェクトや配列で示すことが可能です。

JSONを利用するメリット


JSONを利用するメリットは以下の通りです。

軽量でシンプルに記述できる

JSONは非常にシンプルな構文で記述できることがメリットです。キーと値のペアさえ記述されていれば良いため、XMLなどのようにタグを意識する必要がありません。また最小限の内容だけでやり取りできることから、通信データ量が抑えられることもメリットだといえます。

加えてシンプルな仕組みであるため、人間でもその内容を容易に把握することが可能です。タグが利用されていると構造を理解するのに時間を要しますが、そのような手間は生じません。複雑なデータ形式よりも直感的に理解できるため、開発効率を高めたり、デバッグをスムーズに進めたりできるのです。

多くのプログラミング言語でサポートされている

多くのプログラミング言語でJSONがサポートされているため汎用性が高いことがメリットです。例えば、JavaScriptをはじめ、Python、Java、C#、PHP、Ruby、Goなどのプログラミング言語で実装が可能です。これらに限らず、多くのプログラミング言語で採用されている技術であるため、使い方をマスターしておけば他の言語でも対応が可能でしょう。

また、多くのライブラリやツールがJSONをインタフェースのフォーマットとして採用しています。利便性の高さからプログラミング言語を問わずフォーマットとして選べているため、使い勝手の良さがメリットなのです。

Web開発の標準フォーマットである

JSONは、Web APIやサーバーとクライアント間でデータをやり取りする際の標準的なフォーマットです。例えば、REST APIやGraphQLで使用されているデータフォーマットで、多くのアプリケーションがJSON形式のファイルに支えられています。

また、ブラウザ上で動作するJavaScriptともネイティブな連携が可能です。JavaScriptの用途は広がっていますが、フロントエンドとバックエンドの通信を効率化するなどの用途が増えています。

階層的なデータの表現ができる

オブジェクトや配列をサポートした技術方法であるため、データをネストして階層的に表現できます。そのため、複雑なデータ構造であっても、そのままの形式で表現できることがメリットです。大量のデータを複雑に扱うようなアプリケーションでも、JSONならば柔軟にデータを処理できます。例えば、ユーザー情報に関連して複数の属性を持つ場合でも、ひとつのJSONオブジェクトを作成すれば、その内部で管理が可能です。

柔軟性が高い

JSONはスキーマが固定されていないため、データの変更や追加が簡単です。例えばAPIのアップデートに伴い、新しいフィールドを追加したい場合でも、クライアント側に大きな変更を与えずに構造を拡張できます。影響範囲が少ないだけではなく、改修量も少なくて済むため、関係者全体にプラスの影響があるのです。

ただ、柔軟であるがゆえに、適切な活用が求められるデータフォーマットでもあります。例えば、何かしらの勘違いによって、フォーマットのスペルを間違えていると、それだけで動作しなくなってしまうのです。柔軟性の高さはメリットではありますが、デメリットになりかねない点は意識しておきましょう。

JSONを利用するデメリット

JSONには多くのメリットがありますが、デメリットもあるため注意しなければなりません。

扱えるデータ型に限りがある

JSONがサポートするデータ型は文字列、数値、ブール値(true/false)、配列、オブジェクト、nullのみです。そのため、状況によっては思うようなデータを保持できないことがデメリットだと考えられます。

例えば、JSONには一般的な「日付型」と呼ばれるものが存在しません。そのため、日付を扱う際は文字列として保存し、必要に応じてアプリケーション側で適切なフォーマットに変換します。アプリケーション側で正しく変換しやすいように、”2024-10-18T12:00:00Z”のようなISO 8601形式の文字列を使用するなどの工夫が必要です。

また、バイナリデータもサポートしていません。そのため、バイナリで作成されている画像などのデータを扱う際は、エンコードツールを利用して文字列に変換することが求められます。その結果、データサイズが増大するなどの問題が生じる可能性があり、手間とデータ量の両面からデメリットとなります。

バリデーションが存在しない

JSONはスキーマが定義されていないため、データの整合性を確保する手段がありません。例えばAPIから返されたJSONが、期待に沿っているかどうか評価できないのです。仮にフィールドが欠けていたり、データ方が誤っている場合でも、JSONではそれを検知できません。

この問題を解決するためには、独自にJSONのバリデーション機能を実装することが求められます。ただ、JSON Schemaなどの外部ツールが提供されているため、これを組み合わせるとスムーズでしょう。

コメントを利用できない

JSONは構造をシンプルに保つため、コメントをサポートしていません。そのため、ファイル内で何かしら伝えたいことがあったとしても、記述することは不可能です。データの意味や使用方法などは、ドキュメントやその他のファイルなどで管理することが求められます。

同じくデータを管理するXMLなどのファイルは、データと合わせてコメントも記述が可能です。これらと比較すると、利便性が下がってしまうことはデメリットでしょう。

大規模なデータの処理に適していない

テキストベースのフォーマットであり、大規模なデータを扱う際には非効率です。特に大きなJSONファイルを読み込んだり処理したりすることは、メモリの消費量を増加させ、パフォーマンスに悪影響を与えかねません。

また、そもそもJSONは非圧縮形式のファイルであるため、データ量が増えると必然的にファイルサイズが大きくなります。通信容量などに制限がある環境では、この点もデメリットになってしまうでしょう。

順序を保持できない

JSONオブジェクトは順序付けられたデータ構造ではないため、内容の順序を保証できません。そのため、データを特定の順序で処理する必要がある場合は、配列などを利用し明示的に保持することが求められます。データ形式によっては最初から順序も保持できるため、それらと比較すると手間がかかりデメリットです。

なお、どのように順序を保持するかは、アプリケーションなどの実装に応じて検討しなければなりません。
データを特定の順序で処理する必要がある場合は、別途配列を使って順序を明示的に保持する必要があります。

JSONの活用例


それぞれの活用事例について、具体的な例を交えながら詳しく解説します。

Web APIでのデータ通信

ウェブアプリケーションとサーバー間のデータ通信で最も一般的な活用例がJSONです。例えば、ECサイトで商品を検索する際、ユーザーがフロントエンドの検索バーにキーワードを入力すると、JavaScriptがそのキーワードをAPIリクエストとしてサーバーに送信します。このとき、データはJSON形式でパッケージ化されます。サーバーは商品データをJSON形式で返し、フロントエンドがそれを解析して画面に表示します。

{
  "query": "laptop",
  "category": "electronics",
  "priceRange": {
    "min": 500,
    "max": 1500
  }
}

サーバーからのレスポンスも同様にJSON形式で、次のようなデータが返されます。

{
  "products": [
    {
      "id": 1,
      "name": "Laptop X",
      "price": 1200,
      "stock": 15
    },
    {
      "id": 2,
      "name": "Laptop Y",
      "price": 900,
      "stock": 30
    }
  ]
}

設定ファイル

アプリケーションやツールの設定ファイルとしてJSONが広く利用されています。たとえば、Node.jsで使用されるpackage.jsonは、プロジェクトの依存関係やメタデータを管理するためのファイルです。このファイルには、プロジェクトの名前、バージョン、依存するモジュールがJSON形式で記述されています。

{
  "name": "my-app",
  "version": "1.0.0",
  "description": "A simple web application",
  "main": "index.js",
  "dependencies": {
    "express": "^4.17.1",
    "mongoose": "^5.12.3"
  },
  "scripts": {
    "start": "node index.js"
  }
}

データベースとの連携

MongoDBのようなNoSQLデータベースでは、データをJSON形式で保存します。これにより、リレーショナルデータベースとは異なり、データの構造に縛られず、柔軟に扱うことができます。例えば、Eコマースサイトで商品のデータを保存する場合、製品ごとに異なる属性(サイズ、色、モデルなど)がある場合、JSON形式で階層的にデータを保存できます。

{
  "name": "Laptop X",
  "brand": "Brand A",
  "specifications": {
    "cpu": "Intel i7",
    "ram": "16GB",
    "storage": "512GB SSD"
  },
  "price": 1200,
  "stock": 15
}

チャットアプリケーション

リアルタイム通信が必要なチャットアプリケーションでも、JSONは効率的に使われています。例えば、ユーザーがメッセージを送信する際、そのメッセージやユーザー情報はJSON形式でサーバーに送信されます。WebSocketやAjaxを用いることで、非同期通信で高速なデータのやり取りが実現されます。

{
  "sender": "user123",
  "message": "Hello, how are you?",
  "timestamp": "2024-10-18T14:30:00Z"
}

主要なJSONエディタ

JSONを効率よく記述するために、いくつものエディターが存在しています。XMLと比較すると人間でも読み取りしやすいものですが、括弧が多く記述が難しいためです。専用のエディターを利用することで、データ構造が複雑でもスムーズに記述できるため、主要なものを紹介します。

JSON Editor

JSON Editorは、JSONを記述するエディターの中でも非常に多機能なものです。純粋にファイルを作成するだけではなく、スキーマを編集してデータの構造を定義することが可能です。また、カラーマーカーが利用できるなど、人間が視覚的にデータを操作しやすいように考えられています。ただ、多機能であるため、JSONの基本知識を十分に持っておかないとその良さを発揮できないでしょう。

JSON Editor Online

JSON Editor Onlineはオンラインで利用できるJSONのエディターです。シンプルなユーザーインターフェースが心掛けられていて、テキストを入力するだけで、アウトプットを表示してもらえます。

まとめ

JSONの概要やメリットとデメリット、具体的な活用例まで紹介しました。人間でも理解しやすいデータの形式であるため、アプリケーションなどに組み込んでみると良いでしょう。既に幅広いアプリケーションで利用されているため、それらを参考にすることもおすすめです。

ただ、XMLと比較すると、処理の面で問題が生じることがあります。そのため、メリットとデメリットの両方をよく理解して、メリットが大きい場合に導入してみてください。

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admin